``一意な文字列''

雑多な事柄

読んだもの (2023-04)

東海道中膝栗毛 下 (岩波文庫 黄 227-2)
最後まで当初のテンションが続いていたらすごかったのだが、大阪に入ってからダレてしまった感じがする。特に結末はあまり綺麗にオチておらず、疲れてしまったのかしらん。気楽に読んでところどころの狂歌のうまさにビックリするという読み方が丁度よいなと思った。それにしてもシモの話の多さがすさまじく、少年の心が蘇える感じがする。

夢酔独言 (講談社学術文庫)
安吾の『青春論』で出てきたやつだと大興奮して買って読んだ。解説でもバッチリ青春論に言及されていて笑ってしまった。しかし青春論をはじめて読んだころに探したときはこの本が見付からなかった気がするのだが、探し方が悪かったのかしら。
中身は無敵の無頼の話で、無敵の無頼というやつは始末に負えないので凄まじい。

東京の下層社会 (ちくま学芸文庫)
東海道中膝栗毛』を読み始めた当初に何故か併せて買ったもの。町人街と細民街と貧民街との区別を今まで付けていなかったことがわかった。そして気楽に手を出すとかなり後悔する壮絶な内容でもあった。この時代だからこそ読んでおきたい本だと思いつつ、安易に歴史と現在との比較をするのも理解を鈍らせるような気もする。
とりあえずこれのおかげで樋口一葉を読んでみようという気概になった。

中国戦線従軍記: 歴史家の体験した戦場 (岩波現代文庫)
『飢死した英霊たち』由来。面白かった。世界に完全には馴染めなかった将校の話で、『ティーガー戦車隊』と同じような印象をうけた。
もっとも指揮官の立場と兵隊の立場とは心象が違うはずで、著者と同じ部隊にいた下士官や兵が記した記録も併せて読んでみたいと思った。読んでみたいと思っただけで文献を探してはいない。



追記

何か忘れていそうな気がずっとしていたが以下も読んでいたことを思い出した。紙でしか文書を読めないタチなのだが量が量だけに印刷するわけにもいかず PDF のままなんとか読み、多大な努力を要した:
cruel.hatenablog.com

実績を携え理論武装をした人間が自身の抱く期待と向けられる現実の間とのギャップを解消できず壊れてゆく光景はなんだか氏(もちろん訳者ではない)がその理論武装の中で敵と宣言している数十年前にお国をメチャクチャにした敵国の頭領のようで、同じ穴の狢 *1だなと思った。ツッコミ役が消滅するのは厳しいね。

*1:狸穴町を連想してすこし笑ってしまったのは内緒