``一意な文字列''

雑多な事柄

読んだり観たりしたもの (2022-05)

読んだもの

平家物語(上) (角川ソフィア文庫)
京から福原に遷都されるあたりからだんだん面白くなってきた。それ以前はフーンこんなもんかという感じでパラパラ読み飛ばしていた。宮中の情景に関心を持てず、ゴタゴタが始まると面白く感じるあたり、エンタメしか求めていないということがわかる。
なお古文や旧字や旧仮名遣いについての知識が一切無いのに本文が古文で解説も旧字旧仮名遣いという代物を買ってしまい、パラパラ読むのにも難渋している。これと同じことは以前『ドイツ戦歿学生の手紙』でやった。過去から学んでいない。

掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集 (講談社文庫)
アル中本だった。わたしの将来の可能性としてアル中は普通に有り得ると考えており、後学のためにアル中系の物語は積極的に読むことにしている。
しかしこれはエグい。暴力、閉塞感。短編集なので毛色の違うものもあるが、すべてを覆う陰惨さは濃い。

論理哲学論考 (岩波文庫)
課題図書。予想以上に数学数学してた。

娼婦の本棚 (中公新書ラクレ)
フラッと立ち寄った本屋で偶然見掛けてこれは絶対に面白いやつだと霊感があり買った(レジに持ってゆく勇気は出ず Amazon で買った。本屋さんごめんなさい)。
夜の世界も昼の世界も、キレイもキタナイも生きてきた筆者が「むさぼるように」読んだ本のいくつかを開陳してくれるというもの。『ぼくんち』と『pink』が気になっている。ちなみに『リバーズ・エッジ』はかなり好き。

ドキュメント 戦争広告代理店 情報操作とボスニア紛争 (講談社文庫)
民族浄化」は PR のタマモノだみたいな聞き齧った情報がどれだけ事実なのかを知りたくなって。
情報伝達のオペレーションリサーチという感じ。「事実」をどのように使えばより大きな利益を生むか、そういった流れを堅実に掴んでゆくプロの話。現代の戦争は総力戦というが、その戦闘の中には情報、「事実」の主導権をいかに握るかという戦闘もあるのだなと思った。

本と鍵の季節 (集英社文庫)
読んでて胃がキリキリする。米澤穂信は内蔵に悪い。書下しの作品を含め、この本だけでかなり綺麗に物語がオチている印象があったので、続編が出ると知ってなんだか意外な気持ちになった。『さよなら妖精』の新装版で追加された物語のように読者の首筋を撃ち抜くような物語を楽しみにしています。

観たもの

孤狼の血 LEVEL2
皆さん目力が強い。目力が強いので眼を潰してしまう。見ることや見られることが物語の主軸になるのは平成初頭という舞台以上に現代の象徴という感じがした。

コリーニ事件(字幕版)
随分前に原作小説は読んだ。成仏ラストでとてもしんみりした。よい締めだった。
いっぽう映画版では殺された人間が元武装 SS と明言されていたが、原作では SS としか呼ばれていなかったように思う。若くして SS 少佐(だか、大隊指導者だか、Sturmbannfürer)になったのは SD 記章もあるし、たぶん博士持ちなど高学歴な為だろう。しかし古参闘士章(だったか? 右腕にある山型のやつ)は相当古いナチ党員じゃないと受章できないはずで、WWI ごろの生まれの SS 将校がもらえるものだろうか? そんなことを考えながら観ていたので、イタリアのシーンはあまり集中できなかった。