``一意な文字列''

雑多な事柄

読んだもの (2025-10)

紋章学入門 (ちくま学芸文庫)
デキスター / シニスター / チーフ / ベースという概念を得た。紋様それ自体は揺れや種類や系統がすさまじすぎて着いていけなかった。血筋の維持や主張は一大事業なのだなと思った。

回転木馬のデッド・ヒート (講談社文庫)
酒席で泥酔していたら同じく泥酔していた方に勧められて。ガリガリに痩せた夜会服の男がタクシーの後部座席に座っている絵をモチーフにしたやつが一番好き。人生の折り返し地点を自分で決めた話が次点で好き。終わりを直視している話をわたしは気に入りがちといういつもの傾向が出てきただけだった。

中上健次短篇集 (岩波文庫 緑230-1)
これも酒席由来。絶望の時代(解説にあった表現)のものは痛々しすぎて読んでられなかったのだけど、路地に向き合いはじめたあたりのものからは勢いが凄く、グイグイと読まされた。こういうのが好きというのもある。安吾ウエルベックを読んでいる時と同じ脳の部位が動いている感触があった。

ヴァイオリン・ハンドブック 楽器の歴史、構造、取扱方法、メンテナンス、トラブル対処法、付属品、そしてビジネスの世界まで-その全てが分かる
ちょっと毛色が違うが読み物ではあると思うのでここで。バイオリン関係の場所に出向くとほぼ確実に目にする本で、それなら読んでみるかということで。やっぱり勉強になる本だった。弓のあたりの全般的な内容と、バイオリンの各部位の価値(裏板が一番高く評価されるというのは知らなかった。まあ見た目としても一番インパクトがあるしな)のあたりがだいぶ勉強になった。完全完璧なものが遠い昔に出来上がってしまった世界で世代を重ねるというのは大変なのだなとも思った。