``一意な文字列''

雑多な事柄

読んだり観たりしたやつ (2025-05)

読んだやつ

コンサルタントの秘密 技術アドバイスの人間学
『翻訳者の全技術』由来。
およそ頭脳労働(これをこの本ではざっくり「コンサルタント」と言っている)をうまくやってゆく為に有益なアイデア集だと思った。別にフリーランスのコンサル屋さんでなくともかなり良い洞察が得られる。
山形浩生が読めというだけはある。

何もしない (ハヤカワ文庫NF)
考え方や認識の仕方のひとつの指針、それくらい。
本文中で筆者も言っていたが、注意経済から目を一寸離し花鳥風月に目を向けてみるというのは貴族的な(エスタブリッシュメント的な?)立場を必要とすることもあり、貴族が貴族の振舞を出来るのは生活にあくせくしなくてよいからだ。ここに対しての回答はこの本では与えられていない。
もちろん貴族的な生活は貴族的な振舞いが出来るからだで終わってしまってはそれこそ一巻の終わりで、注意経済以外のところにも面白いコンテンツ(この「コンテンツ」こそが注意経済が人々に注意を向けさせるもののひとつ)は有り、コンテンツがコンテンツ以上のものになると機能主義を突き抜けた捉え方が出来るようになる、それは面白いという側面を越えたものになれる。
ところでわたしは普段の生活の中でなんだかんだサギやウを間近に見るが、サギやウみたいなデカい鳥が羽を近くでバタバタやるのはめっちゃ怖い。著者のような態度をとれるようになるにはまだ遠い。

書記バートルビー/漂流船 (光文社古典新訳文庫)
『何もしない』由来。解説まで読んでハアそういう背景を踏まえて読まにゃいかんのですなという気分になった。解説を読むまでは『書記バートルビー』はカフカ的なやつ、『漂流船』はメルヴィル君のフネ好きの面が出たサスペンス的なやつ、という感想だった。

観たやつ

赤い闇 スターリンの冷たい大地で(字幕版)
ホロドモールの描写がかなり良かった。詩が説明を肩代りし、惨事に肉付けをしていた。オーウェルが空虚な事ばかり言う役になっていたのも結構面白かった。

ダンケルク(字幕版)
空戦描写がキモいカメラアングルで、シン・ゴジラを観ているかのような気分になった。ガンカメラの映像というのはこういう視点なのかもしれない。登場人物がほぼ匿名なのはバタバタ人々が死んでゆく様や無名の個人の努力によって救われる生命という光景を描きたかった為なのだろう。

ミッドサマー(字幕版)
一点透視でカメラが固定されると怖い。明るいシャイニングみたいな映像がずっと続いていて、ずっと胃がキリキリし心臓も痛み続け、心底嫌だった。行方不明者が出始めてからずっと肉料理が続いていたのは人肉食の暗示かと思ったのだが、そういうわけではなさそうか。コミュニティの維持が目的になると狂気を孕みやすいのかな。流動性というのは大事だな。

酔いどれ天使
頑固者で一本気な為に本来の才を活かせない境遇に酒を呷りまくるしかなくなった医者が「酔いどれ天使」なわけだが、この酔いどれ先生よりは三船敏郎の酔いどれ具合のほうが真に迫っている感じがした。爆酔している時のわたしもあんな感じの振舞いをしていたらどうしようと憂鬱になる。
敗戦後の焼け跡の風景に秩序の描写があっても米軍の描写が無いのはなんだか不思議な感じだが、時代がそうさせていたのかもしれない。無為な死とは無縁の若者が希望とともに去ってゆくという描写は好き。