今月はあまり新規に摂取したものがない。手をつけた本はあるが読み終えてはいない。
月の半ばからはずっとウエルベックを読み返していた。『闘争領域の拡大』がかなりよかった。なんだろうこれは、どうすればいいんだろう、どうすればいいの? という、痣をつけてくる物語だ。
それはともかくとして。
読んだもの
まあいつものように表紙をボンと乗せられるようなものではないよな。そして読了したというものでもないとは思う。
2年くらい前に物欲が爆発して購入したものを今年の始めから手をつけてやっと読み終えた。
たかが記録、されど記録。「戦災」誌なので戦災の記録だけと思っていたが、戦争のはじまりから終わりまで東京市と東京府、最後は東京都になるけども、とにかく帝都を担う行政が戦争という事業にどのように取り組み、何ができて何ができなかったかが大量の活字で流れ込んでくる。下手な物語は記録の前には無力だ。
他の地域が被害状況を詳述しているのに特定の地域が「大部を焼失」とか「全域焼失」という記述しかないと説明というのは無力だなと爆撃下の市街地の行政資料を読んでて思った
— 之貞 (@ngsksdt) 2021年1月19日
ちなみに付録の地図(東京市域と八王子方面の爆撃の被害状況)だけでも圧巻なのだが、この本を読み終えた後日にすみだ郷土文化資料館に行ってみたところ、この地図も実は正確な被害状況を示しているものではない、ということを知った。詳細は今でもなお不明であり調査中なのだそう。戦争というのはわからないことだらけだ。
観たもの
映画を観ました、ということが言いたかった。Komm, suesser Tod のない旧劇だった。
惣流アスカを除いて登場人物にある程度の救済が与えられていて、これで物語も人物も完済したのだろう。
人類補完計画の発動以後は映像と演出が凄まじいことになっている以外は親子の対話を通じてという差こそあれ旧劇に沿った進行と描写と展開で、一部その中で式波ではなく惣流のほうのアスカとみられる救済の描写もあったが、得体の知れない怪物共に集団で滅茶苦茶にされて喰い散らかされた後に与えられる救済にしては「ゴメン」の一言、それも25年越しに一言ってひどすぎないですか(わたしは惣流アスカをかなり贔屓している)。
まあ TV 版 / 旧劇 / 新劇と通じてアスカは総じてひどい扱いを浮け続けていて、ハリボテの高慢さや傲岸不遜さ、優越感、自惚れこそをメチャクチャに叩き潰したくてこういう事をせざるを得なくなったのだろうか。他者への恐怖や孤独への不安には上手く折り合いをつけることができた様子ではある。
ラストの宇部市らしい付近の実写は『式日』の舞台っぽい建物の屋上(印象でしかなく間違っている可能性が高い)が一瞬映り、やっぱりカントクは実写がやりたかったんだなあと興奮した。総じて新劇は面白いは面白いが、エヴァという物語は旧劇でオちており、登場人物を何らかの動機で救済してやる必要が出てきたので新劇が作られ、物語は再び終わり、登場人物もこれで救われた、というように解釈した。
新劇は新劇でおもしろいのだが今更さらばと言われなくとも旧劇できちんとオチているので別れの挨拶は不要であり気長に待つので頑張ってほしいという立場をとっている
— 之貞 (@ngsksdt) 2021年1月14日
パリの戦闘にてガチョウ足行進で進軍してきた大量のエヴァンゲリオンしかり、Q から役目の増えた複座の搭乗を要求するエヴァンゲリオンなど、物語の中での戦闘が個人ではなく集団を要請するようになってきたのは注目に値するかもしれない。