``一意な文字列''

雑多な事柄

読んだり観たりしたもの (2020-08)

読んだもの

本棚見てわたしにしては今月結構読んだなとビックリしている。

服従 (河出文庫 ウ 6-3)

いままでの拒絶か放棄から受容に変化した。どこかの書評で解脱と表現されていた気がするがそこまで立派なものではないと思う。

地図と領土 (ちくま文庫)

静かな物語だった。自分を登場させて言いたいこと言い尽したので自分の事殺したのかなと思ったが以後もウエルベックは続いているのでそんなことはないか。

軍旗はためく下に-増補新版 (中公文庫)

映画は何度も観たが原作は読んだこと無かったので。映画は国家に対するニヒリズムみたいなものがあったがこちらは弱者がひたすら泥を被りまくる苦痛がこれでもかと広げられていた。山本七平を読みたくなる。

小説 天気の子 (角川文庫)

世界と引き換えに失われたものが完全に戻ってくる。それなら世界を投げ捨ててしまえばよい。破壊された世界で戻ってきたものと共に生きてゆこう。

同じく世界を賭したのに失なったものが戻ってくることはなかった『雲のむこう、約束の場所』のほうが500倍は好き(あわせて再読したのでどうしても比較してしまう)。

氷菓 「古典部」シリーズ (角川文庫)

友人に勧められて。省エネを連呼する姿勢がどうしても鼻についてしまったのだがこれは馴れるのだと後の物語で学ぶのだった。周囲の熱におされるまま偶像に成り果て全ての泥を被って消える刹那に洒落を仕込める人間は詩人だ。

愚者のエンドロール 「古典部」シリーズ (角川文庫)

ひとは観たいものを観て演じたいものを演じる。

クドリャフカの順番 (角川文庫)

今回読んだ「古典部」シリーズの中で一番好き。手の届かない所にいる / あるものへの憧れ、期待、反省、様々な態度が溢れている。それらは手の届かなさを自覚する者だけが血を吐き苦しむ特権であり、ただただ解明するだけの安楽椅子探偵にはその血飛沫の熱を感じることはできない。

遠まわりする雛 「古典部」シリーズ (角川文庫)

箸休めみたいな感じかなと思った。気楽に読んでしまった。だがとあるお話の心情の吐露でこの気楽さは吹き飛んだ。このお話だけは『クドリャフカ〜』と同じくらい好き。よく考えなくてもわたしはこのシリーズをミステリとして読んでいないことがわかる。

ふたりの距離の概算 (角川文庫)

材料を全て並べ尽した上でイベントの終了を最後まで描かないのは『ボトルネック』っぽくていいなあと思った。

いまさら翼といわれても 「古典部」シリーズ (角川文庫)

これは物語を次の段階へ進める為の清算だと思う。次が楽しみ。省エネ思想に背景が与えられたので『氷菓』も気持ち良く読めると思う。

スプートニクの恋人 (講談社文庫)

いちおうミステリなやつを読んだ直後に読んだので失踪の解釈に別世界を持ち出すのはダメだろ、と思ってしまった、が別にミステリではないのでそれでもよかったのだった。あちらの世界は捨てざるを得なくなったものの集積場で、生きる以上は捨てなくてはならぬものがどうしても出てしまう。いつかは捨てなくてはならないものをいつまで持っていられるだろうか。

観たもの

肉弾

カッコカッコ言いすぎてどんな数式だったかわからなくなった。ヤケクソの度合いもここまでくると笑うしかなくなってしまう。いつも夏に観る映画は『日本のいちばん長い日』と『激動の昭和史 沖縄決戦』だったのだが、これからはこれも加わった3本を観るようになるだろう。