読んだもの
東独のくすんだ灰色という心象と鮮やかな音楽とが混ざりあって独特の色合いになっている。
これに影響されてバッハのパルティータ(マタイ受難曲がよかったのだが買えなかったの)と平均律クラヴィーアの CD を買った。ミーハーだ。
読み終えてからどうも定期士官に同情を禁じ得ず切なくなってしてしまった。自らの覚悟を職務に乗せて全うしようとする彼の姿が痛々しい。
映画の方をふたたび観てそういえば原作読んでなかったなと思いなおして。とりあえず外でごはんを食べたくはなくなる。
『慈しみの女神たち』とずっと比較しながら読んでた。けどそれはナンセンスかなと思う。
神を愛することを選んだ人間と神を棄てることを選んだ人間が最後に同じ信仰(ディテールは異なる)に辿りつくというのは面白い。ただし神を愛することを選んだひとのほうが恵まれている感があり、後者のひとと同じくどうしてお前だけと言いたくはなる。
『慈しみの女神たち』は生活と思索の方面から描いたがこちらは信仰の方面から攻めたのかしらん。
物語の詳細を解説してもらうよりファンファーレを高らかに鳴らされてなんもわからん状態にされたほうがよかったのかもしれない。少なくともわたしはそういうほうがよいと感じることがわかった。
観たやつ
生きるの諦めてしまったヤクザはみんな『ソナチネ』っぽくなってしまう。