``一意な文字列''

雑多な事柄

飲酒の段階について

坂口安吾の『余はベンメイす』『不良少年とキリスト』『戯作者文学論』や太宰治の『親友交歓』『津軽』、あるいは最近読んだ中島らも『今夜、すべてのバーで』や吾妻ひでお『アル中病棟』といった、飲酒者ないしはアル中を描いた物語は大体おもしろい。
酒飲みの端くれとして、シラフや泥酔酩酊した人々にこうしたおもしろさを提供できるようになりたいな、と頭の隅っこで日々考えている。
せっかくなのでその修行の一環として、量と時間とに関連付けて飲酒し続けるとどうなるかを書いてみようと思う。

注釈

ビール中ジョッキは500mL、大ジョッキは1Lくらいのイメージです。

シラフ

酒量:なし
飲酒継続時間:なし

いわゆる普通の状態。無気力。なにも面白いことはない。ぼんやりしていると時間が過ぎていく。しんどい。

ホロヨイ

酒量:〜ビール中ジョッキ1杯 or ウイスキーをシングルで1杯
飲酒継続時間:〜30分

ちょっと飲んだ状態。シラフのときよりアタマがはっきりする。気持ちが高揚し、考え方が前向きになる。複数人で飲酒している場合、相手の話がきちんと聴こえ、理解ができる。パソコンがまだ使える。

ヨイI

酒量:〜ビール中ジョッキ3杯 / 大ジョッキ1杯 or ウイスキーをシングルで2杯
飲酒継続時間:〜1時間

けっこう飲んだ状態。気持ちが高揚しすぎ、全てが楽しくなってくる。世界の全てを許せるようになってきて、憎しみの感情が失われる。自分ではまともなことを喋っているように考えているが、実際は内容が少しづつ破綻していく。まだパソコンがつかえるが、ミスタイプが増える。

ヨイII

酒量:〜ビール中ジョッキ4杯 / 大ジョッキ1.5杯 or ウイスキーをシングルで2.5杯 / ダブルで1杯
飲酒継続時間:1.5〜2時間

だいぶ飲んだ状態。目の前がギラギラし、耳に覆いをされたような感覚に陥る。見ていることや聞いていることと、それを知覚することがバラバラになってくる(『虐殺器官』の痛覚マスキングみたいな感じ)。話す内容は破綻している。パソコンはもう使えない。スマートフォンはまだ使える。

デイスイ

酒量:ビール中ジョッキ5〜6杯 / 大ジョッキ2杯 or ウイスキーをシングルで3杯 / ダブルで2杯
飲酒継続時間:〜3時間

しゃべるのが億劫になり、沈黙する。目がすわる。見ているのだが、何も観えなくなる。話しかけると喋るが、喋っている内容が自分でもよくわからなくなってくる。スマートフォンはまだここでもギリギリ使える。

メイテイ

酒量:ビール中ジョッキ6.5杯〜7杯 / 大ジョッキ2.5杯 or ウイスキーをカウントするのをやめる
飲酒継続時間:3.5〜4時間

わけがわからなくなる。この辺りから記憶がなくなる。気がつくと布団の中にいたりする。書いた覚えのない言葉がインターネット上に転がっていたりする。歩くと千鳥足になり、傘を持っていると捧げ銃などする。スマートフォンを手に持っているといつのまにか消失していたりする。正気を装って文庫本を開いてみるとこれもやはりいつのまにか消失している。この辺りからフツカヨイ(後述)がおまけとしてついてくる。

ドウニデモナレ

酒量:わからなくなる
飲酒継続時間:わからなくなる

なにもわからなくなる。記憶も飛ぶ。なにも聞こえなくなるし、何も見えなくなる。なにも考えられなくなる。一種の恍惚。

フツカヨイ

酒量:なし
飲酒継続時間:なし(但し、12時間以内に飲酒をしている)

ヨッパライ(上記ヨイI〜ドウニデモナレを総称してこうよぶ)からシラフに戻る過程の中でよくみられる状態。現世の悪魔。シラフのときよりメランコリックになり、シラフのときより無気力になる。もう酒なんざ飲まねえという気分になるが、酒を飲まないという決断はそう簡単にできるものではないのである。

補足

この記事はヨッパライ状態にあるときに書かれたメモを元に、シラフの状態で書いたものである。メモ書きは紙にペンで書かれたものであり、大変な悪筆と誤字にまみれている。これを付記としてこの記事に添えて終わりにしようとおもう。
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