``一意な文字列''

雑多な事柄

読んだり観たりしたもの (2021-11)

読んだもの 少々私的な理由があって読んだ。すこし前に小旅行に出掛け、戻ってからもアタマは旅先に残ったままでカラダだけが家に戻ってきてしまったという状態になりとても苦しい思いをし、これが「移動祝祭日」なのではないかと思ったというもの(ボカしす…

読んだもの (2021-10)

10年くらい前の自分をブン殴ってでも無理矢理読ませておきたかった程度にはもっと早く読むべき、出会うのが遅すぎたと思った。しかし10年前に読んだとしてこの物語を楽しめただろうか? あまり自信はない。 だいたい上と同じような感想の為省略。 村上龍感が…

読んだり観たりしたもの (2021-09)

調子を崩して書くのが遅くなってしまった。遅くなってしまった割には特に読む量は増えていない。 読んだもの モービィ・ディックはデカくて恐ろしい。それを書かんとする為の怒涛の文字量だったのではと思った。『オン・ザ・ロード』を読んでて思ったが一時…

読んだもの (2021-08)

ドイツの戦後は終わらない。終われない。Sturnbannfuehrer を SS 少佐とせず SS 大隊指導者としているのは法学寄りの歴史を意識しているからかしらと思っていたが、当人の所属が武装 SS じゃなくて一般 SS だったことを示しているのかと今ふと思った(以上付…

読んだり観たりしたもの (2021-07)

読んだもの 『責任という虚構』に影響されて。カネの存立には具体的な根拠などなく、未来永劫にわたる信用への期待にもとづくものなのだ、というものと読んだ。もし今後マルクスを読む機会があったら副読本として手元に置いておくと便利そうだと思った。 便…

読んだり観たりしたもの (2021-06)

読んだもの 『セロトニン』の文庫化をずっと待ってたのについ手が滑って既刊の単行本を買ってしまった— 之貞 (@ngsksdt) 2021年6月8日 先生とうとう行きつくところまで行ってしまったか。ウエルベック第一部完、という感じをうけた。今までの物語で提示して…

読んだり観たりしたもの (2021-05)

あと一日とそこらでは増えないのでもう書く。 読んだもの アメリカはデカいみたいな小説読んでたらバーボン飲みたすぎて気が狂ってきて今はブラームスを聴いている— 之貞 (@ngsksdt) 2021年5月5日 北米大陸の広大さとイカれ具合に運と縁と狂気で立ち向かう人…

酒瓶を割る

ショットグラスの縁いっぱいまで注がれたウイスキーに最後のダメ押しで一滴を加える。まだ溢れない。ウイスキーの瓶はこれで空になった。空になった瓶を抱え、台所の冷蔵庫の脇に無造作につっこまれているビニール袋の中から二枚、厚手のものを引き抜く。瓶…

読んだもの (2021-04)

5月になってしまった。5月になってから読み終えたものを含みます。 同じようなことを延々とよくやるなと最初はとっつきづらかったのだが、ヴァルモン子爵とメルトイユ侯爵夫人は恋(というより篭絡だな)というゲームをやっているのだと捉えてからは読み易く…

読んだり観たりしたもの (2021-03)

今月はあまり新規に摂取したものがない。手をつけた本はあるが読み終えてはいない。 月の半ばからはずっとウエルベックを読み返していた。『闘争領域の拡大』がかなりよかった。なんだろうこれは、どうすればいいんだろう、どうすればいいの? という、痣をつ…

読んだもの (2021-02)

自動車事故からよくもまあこんな緻密に言葉を練れるもんだ。『デス・プルーフ』みたいなやつかなと想像していたが、そいつの数十倍は気味が悪く粘着質で男根的だった。これを自伝の要素があると言えてしまうのはすごい。 労働というもんはみんなブルシットな…

読んだり観たりしたもの (2021-01)

読んだもの 戦争にも戦闘にも負けた軍隊の現場の風景。とにかく生き延びること。しかし作戦は発動されスチームローラーが猛威を振るう。 ここでも大日本絵画系の数々の書籍の元ネタがわかり有意義だった。というよりこの本自体宮崎駿の『ハンスの帰還』で引…

劇場版『虐殺器官』について

先日、今更ながら劇場アニメ版の『虐殺器官』を観た。同『ハーモニー』がとても悲しいことになっているという苦い記憶があり(そのあたりは 劇場版『ハーモニー』について - ``一意な文字列'' で書いた)、随分前に公開されたというニュースをみても観にゆく…

読んだり観たりしたもの (2020-12)

読んだもの 題名から漂うしょっぱさに我慢ができず読んだ。予想通りのしょっぱさだった。が思想性の強い作品で、物語が思想に負けている感がどうしても否めない。思想の強さそのものに物語性があり、その意味では骨太。 劇中作の映画のシーンが単純に綺麗だ…

読んだり観たりしたもの (2020-11)

まだ1日あるが変化しないとみられるのでもう書く。 読んだもの 最後のふたつの章で今までの登場人物が全部始末されてゆくのが圧巻だった。ここまでやってオチをどうするんだろうと怖くなったが、やっぱり死だったか。 『アレクサンドリアを焼く』と『夜の似…

読んだり観たりしたもの (2020-10)

読んだもの 計画を立てているときが一番楽しい。 飲酒を扱う物語ではじめて酒を飲みたくなくなった。不穏な展開が全部不穏に進行して何も救われず破滅に行き着いてしまう。報われる要素も一切無い。マトモでいたいときに読むとよいと思う。 観たもの 沖縄に…

読んだり観たりしたもの (2020-09)

読んだもの ウエルベック繋がりでバルザックを読んでみたいという話を飲み友達に話したらおすすめされたので。苦難と忍耐とを重ねに重ねて死んでいったかつて愛した人をいつまでも引き摺ってるんじゃないアタシは知らんみたいな最後の手紙で笑ってしまった。…

読んだり観たりしたもの (2020-08)

読んだもの 本棚見てわたしにしては今月結構読んだなとビックリしている。 いままでの拒絶か放棄から受容に変化した。どこかの書評で解脱と表現されていた気がするがそこまで立派なものではないと思う。 静かな物語だった。自分を登場させて言いたいこと言い…

読んだり観たりしたもの (2020-07)

読んだもの 青年団の顔役に主人公の恋人はメチャクチャにされて主人公は仇をとって自殺するんだろうなと思ってたら全く予期しない素敵な終わり方をしてしまい自分の汚さを堪能する破目になった。 ちなみにしばらくの間「ちょうそう」と読んでいたという恥を…

読んだもの (2020-06)

もう今月は増えないと思うので6月終了まで1日強あるが書く。 時期柄。中世が舞台だと思っていたのだが思いっきり現代(WW2 以後という意味で)が舞台だったのでびっくりした。 横文字を使わず漢字が与える感触だけで SF をやるとこんなにおどろおどろしいも…

読んだもの (2020-05)

やっと読み終えた。結局誰も治ってなかった。営々と積み重ねてきた教養や省察が戦争の勃発と共に榴散弾で吹き飛んだんだろうなというところで終わってしまった。戦争に対してこの物語はあまりにも無力。 一部の人間の桁外れの異能さが物語の根幹を支えてしま…

読んだもの (2020-04)

5月ももう3日目になってしまった。 電車で行ったり来たりしている間と酒飲んでる間が主な読書時間で、昨今の情勢からその2つがなくなってしまった。こうなると私は本を読まんのだなということがわかった。積読が減らぬ。 混乱の時期に。焼酎と訳されている箇…

読んだり観たりしたもの (2020-03)

4月も2日目になっちゃいましたが3月分の内容です。 読んだもの いつかは読んでみたかったやつを読みはじめたというもの。分厚い。晦渋。いまのところ「ここは魔の山、 みんな治る」という感じではない。 『夕凪の街 桜の国』を読んでから気になっていたもの…

読んだり観たりしたもの (2020-02)

読んだもの 戦争末期に著者が意見を携えて役所に出向いたら厄介者扱いされて取り合ってもらえなかったくだりは面白かった。 身体中を虫に喰い荒されるの嫌だな。 伊藤計劃トリビュート2で「プロジェクトはプロジェクトでもスクールアイドルプロジェクトの方…

だから俺は酒を飲む

飲み屋を出たら雪がちらついていた。今日はいやに冷えるなと思っていたらこれだ。夜空は暗い灰色の雲がぶ厚く一面に広がっている。 溜息をついてコンビニに向かい、ビニール傘を買った。すぐ使うので包装をここで処分して下さい、とレジの店員に言うと怪訝な…

読んだり観たりしたもの (2020-01)

読んだもの 確かにまだ我々はこちら側にいる。あちら側はちょっと生きづらそうだな。 主人公が怖い。 あっ、撃っちゃうんだ、そんで撃とうとしちゃうんだ、と思った。表題作ではないほうは『ボラード病』のような雰囲気で怖かった。 そんなもんか……と感じて…

読んだり観たりしたもの (2019-12)

読んだもの みんな死ぬエンドでちょっと寂しかった。『愛と幻想のファシズム』で前に進めることができた村上龍はすごいんだなあと思った。方向性が違うとはいえども。 弱者とそれをみつめる超越者(という書き方が適切とは思えない。でも神ではないよね)と…

読んだり観たりしたもの (2019-11)

『慈しみの女神たち』のスターリングラードあたりのエピソードが思い起こされた。 俺たちの暴力に外野は指一本触れさせん。密室で醸造された野蛮。 『仁義なき戦いを』観たあと広島弁が頭を離れなくなるように吉里吉里語が頭にこびりつくのだった。 『虚航船…

読んだり観たりしたもの (2019-10)

今月前半は本棚から本を引っ張り出して読むということを続けていた。だいたい坂口安吾を読んでいた。『不良少年とキリスト』と『白痴』は何度読んでもよい。 でも結局以下のようになった。本棚をほじくる生活をしたかったし今月は今までずっとできてたのにと…

『鳥は重力に抗って飛ぶのではない』についての感想

これで以下のように書いた: ただテーマありきで文章を綴っているような印象が多々あり、『風立ちぬ』の批評についてはテーマにすりよせすぎている感があった。 これに続けてポロポロと印象を書いたが、もっとちゃんとわたし自身が得た感想を書いておくべき…