``一意な文字列''

雑多な事柄

飲酒の精神

 手持ちにある坂口安吾のエッセーを再読した。

堕落論 (角川文庫クラシックス)
(手持ちのは表紙のデザインがちょうど白黒反転したもの。本当はそれを選びたかったのだけれど見つからなかった)

 坂口安吾のエッセーをたくさん読んだとか熟読したとかそういうわけでは無いのだけれど、今まで読んだ中では(=手持ちの本の収録内容の中では)「不良少年とキリスト」というエッセーがとても好きで、気が向いた時に何度か読み返している。これを読んでると酒を飲みたくなくなるし、虫歯の経験が無くてよかったと安堵する。
 で、今、このエッセーを読んでると酒を飲みたくなくなると書いたけれども、酒を飲んでる時とか酒を意識しているときはだいたいこれが浮かんでくる。酒がうまいとかなんとかかんとか、そういうことではなくて、酒はただ酔うために飲むという考え方が、とても好きだ。そりゃあ酒を飲むなら美味しい酒を飲むのがいいだろうけど、料理とかそういう意味の、味覚を満たすための酒というよりは、薬とかそういう意味の精神を満たすための酒という扱いのほうが、考え方としてしっくり来る。
 坂口安吾は恋愛とか肉体とかそういう方面がうまい作家らしいけど、私はヒロポンとかアルコールとかを書いてる氏のほうが、どうにも輝いて見える。