読んだり観たりしたやつ (2017-03)
読んだやつ
上巻は日常を非日常が塗り潰していく物語で、下巻は非日常が非日常をけずりとって日常が出てきたみたいな物語に感じた。
相変わらず汚物を汚物のまま描写する描写がものすごく、読んでいてクラクラした。
觀たやつ
プロはやっぱりかっこいい。
この映画のおかげでモザンビークドリルという技法を知った。使い道はない。
ひたすら重い。重いものがドスンドスン来る。
異常な状況によって失ってしまった日常を完全に取り戻す方法はなく、取り戻したと思っても何かが欠落していたりゆがんでいたりする。
岡本喜八版『日本のいちばん長い日』が異常な熱量をもつ反面、こちらはかなり冷静に物語を描いている。
しかしやはり敗戦間際のゴチャゴチャはもっと異常な熱量で狂騒的であるようなイメージがあり(これはわたしの私感。実態は知る由もない)、観ていて寂しかった。
またいろいろエピソードを盛り込みすぎた感が否めず、えっあっこれで終わるの、という感じで消化不良という印象がある。
なおどうしても岡本喜八版と比較してしまうが、佐々木大尉の描写は岡本喜八版に匹敵すると思う。
一瞬だけ出てくるだけだが完全に全てが意味不明な狂人で、岡本喜八版の熱量を帯びた狂人に匹敵する良さがあった。
冷静に狂気を描くことに長けたひとが制作に関わっていたのだろうと思う。
宮城事件がベルリン市街戦ばりのドンパチになってておもしろかった。
欲望に真摯になりすぎた結果全部オジャンになっちゃった。そんな映画。豪奢。
ボニーとクライドが蜂の巣にされる最後のシーンをみたくて観ただけ。
前線でつかってた銃ってそのまま復員時にもってかえれるものなのかしら。お話は普通。
映画館でも観たけどやっぱりこの映画は映画館向きだ。というかたぶんデカイものがドンパチする映画はみんな映画館でしか感動は得られないと思う。
『シン・ゴジラ』つながりでこちらも観た。ゴジラが太平洋戦争(による災禍)の再来という感じで良かった。
でもボンヤリ観てたせいで銀座が火の海になるシーンを見はぐって悲しい。
読んだり観たりしたやつ (2017-02)
読んだやつ
『少女地獄』か『火星の女』が読みたかったのだけど買ってから収録されていない事に気がついた。
でも『いなか、の、じけん』があったのでよかった。
だれでもつらい気持ちになれる名作。組織に属しているひとやこれから組織に属そうとしているひとが読むと刺さるものがいっぱいあると思う。
戦争ってよくわからない。
これも読んででつらい気持ちになれる名作。思想や主張について考えるのを放棄してもボロボロの兵隊がボロボロの戦争をやっていく風景を追体験出来る。
でもやっぱり戦争ってよくわからない。
なんで買ってなんで読んだんだろう。統計について少しでも事前知識や素養がないと置いてけぼりを食らう。
わたしは置いてけぼりを食らった。
読んだり観たりしたやつ (2017-01)
読んだやつ
表紙にデカデカと買いてある英語の副題のほうが物語を端的に表している。
追い詰められた弱者の闘争方法について。
単純に掌編を楽しむもよし、掌編を連絡させて本編を楽しもむもよし、ひとつで二度美味しい。
これも米澤穂信っぽくウッとなるが、マイルドにウッとさせてくれる。
古今東西の短編をあつめたやつ。べつに米澤穂信の解釈が入っているとかそういうわけではない。
『日本のいちばん長い日』で学生のポケットにねじ込まれていたのを見て。
生きるのはつらく人生にはうんざりする。つらい人生を受け入れるか解釈するか逃避するか。
読んでて非常にしんどかった。華美に装飾された箱の中にまた華美に装飾された箱があり、どんどん開けていって最後に残った華美に装飾された箱を開けたら無だったみたいな感じ。
でも箱の華美な装飾を楽しむというむきがあるらしく、なるほどなあと思った。
『ドグラ・マグラ』、『虚無への供物』とこれといわゆる日本三大奇書は読んだが、いちばん奇書だったのはドグラ・マグラかなあ。
読んだり観たりしたやつ (2016-12)
読んだやつ
後世から歴史を振り返ればあのときこうすればよかったのではないかと推測が建てられることは必然で、そういう読み方をしてしまうと無益になる。
大きな組織でこのような失敗を積み重ねた結果このような帰結を得たというノウハウ集的な読み方をすれば有益かもしれないが、そこまでの展望を持てるほどの背景が私にはない。ゆえにあまり読んでて学べたことはなかった。
マスコミが嫌いになる。が、そういう読み方をしてしまうことは筆者の意図ではないと思う。
自分の脳味噌をつかって自分で判断していかねばならないが、自分で物事を判断するのは難しいし、なにより疲れる。
猥談、爆雷、飲食、爆雷、修理、猥談、爆雷、修理、爆雷、死。
映画版がほんとうにすごい映像だということがよくわかった。
よかった。おまえのその選択は本当に正しかったのかと問う物語の集まり。
大刀洗さんの行動力に驚かされる。知るとは何か、伝えるとはなにか。
これも上と同じく知ることと伝えることの疑念があるが、表題の「真実」を問う意味もある。真実とはなにかという問い。
ヨヴァノヴィッチ氏の登場で『さよなら妖精』と否応なくリンクさせられウオオオとなった。
最高以外の感想がない。物語としてもドキュメンタリーとしても一級品。
これについても改めて岡本喜八版映画の凄さを痛感させられる(最近撮られた方は未観なのでわからない)。